マネートーク

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FMしまだ 2019年12月26日 放送              [年末の申告書類は自己責任]



今回は、年末調整について解説していきます。会計事務所の業務の一つに、 年末調整があります。会社にお勤めの方は、11月頃から各種申告書や、 生命保険などの控除証明書を会社に提出していると思いますので、もうお済かと思います。ただ、 この申告書類は自己申告になりますので、言い換えれば自己責任、 間違えてもそのまま処理が進められてしまうケースがほとんどです。 毎年多くの方の計算を手掛けておりますが、間違えやすいポイントについて今日は解説していきます。


扶養控除等申告書


今日はたくさんあるポイントの中から、『扶養控除等申告書』について解説します。
『扶養控除等申告書』は、会社にお勤めの方は毎年提出していると思います。扶養控除とは 「養う家族がいる場合、税金の負担を軽減できる」という制度です。この申告書を提出することにより、 翌年1月からの所得税額が計算され、会社で所得税が徴収される制度です。 結婚や出産を機に扶養が変わる場合や、扶養から外れる親族がいた場合は、訂正をする必要があります。
普段何となく皆様はこの用紙を記載しているかと思いますが、ここには注意点がたくさん潜んでいます。

「配偶者控除」「扶養控除」「障害者控除」「寡婦(寡夫)控除」「勤労学生控除」とありますが、 これを順番に説明していきますね。


■配偶者控除

主婦の方の口癖に『103万円の壁』のフレーズがあると思います。年間103万円以下の収入であれば、 夫の扶養に入れるという認識だと思います。この制度ですが、昨年からいくつかの変更点があります。 103万円から150万円に壁は変更されたのは皆さんご存じですか?

この金額を判定する際、私たちは配偶者の「所得」の記載を求めます。しかし、「収入」 を記載してくる方が多くいらっしゃいます。収入と所得の違いって判りますか?収入とは、 源泉徴収票でいうと支払金額の欄に記載された数字です。
それに対して所得とは、その支払金額から給与所得控除の金額を差し引いた金額になります。 年間収入が160万円くらいまでの方であれば、収入から単純に65万円差し引いていただければ、 所得金額を確認することができます。それ以上の方は、国税庁のホームページなどでご確認ください。 配偶者の収入が201万円以下であれば、配偶者控除ではなく、配偶者特別控除の可能性があります。

夫の所得が1,000万円以上の方は、いくら奥様の所得が低くても配偶者控除に該当しませんので、 こちらについてもご注意ください。収入でいうと1,220万円ですね。



■扶養控除

16歳未満のお子さんは、所得税上の扶養控除はありません。住民税のみの控除となります。また、 19歳以上23歳未満の方を扶養している場合は控除額が加算され、 70歳以上の方を扶養している場合は別居か同居についても控除額が変わります。 扶養した方がお亡くなりになられた場合でも、その年の扶養控除として計算することができますので、 こちらについてもご注意ください。



■障害者控除

精神や身体障害、知的障害者などを扶養している場合に適用されます。障害の度合いによって控除額が変わり、 特別障害者に該当する方はこちらも別居か同居かによって控除額が変わります。こちらの判定基準についても、 国税庁のホームページなどでご確認ください。



■寡婦(寡夫)控除

これが結構漏れているケースがあります。寡婦とは、配偶者と死別、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、 又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。 子供の所得にも関係しますが、学生を扶養している場合は該当するケースがほとんどです。



■勤労学生控除

言葉の通り、働きながら学校に通っている方の事ですが、この控除は今まで説明した中で最もレアなケースなので、 今日は割愛致します。



まだ間に合う確定申告


年末調整は、時期的にほとんどの会社が処理を終了しているかと思います。しかし、 今日の話を聞いて間違った申告をしてしまった方には、救済措置があります! 確定申告によって正しい数字にすることができますので、該当するかもしれない、 と思われた方は一度確認してみることをお勧めいたします。
ご自身では確認できない方は、一度ご相談いただいても構いません。
ここまでのお話は、年末調整対象者だけではなく、確定申告をされる方にももちろん関係のある話です。 過少に申告してしまった場合は税務署や市区町村から連絡がある半面、 多く納めている場合には何の連絡も入らないことがほとんどです。
大切なお金の事なので、しっかりとご自身の事を確認してみてはいかがでしょうか。